

VIX投資・恐怖指数投資と言うと、ショート(売り)戦略が注目されがちですが、実際のところ、ロング(買い)戦略は、どんな特徴を持ち、どんな時に使える投資法なのでしょうか。
今回は、そんなVIXロング(買い)戦略についてご紹介します♪
VIX恐怖指数投資のロング(買い)戦略のリスクとは
まずはロールオーバーについて理解しよう
基本的に、VIX関連の商品はVIX先物に連動するように設計されていて、そのVIX先物には取引期限が設定されています。
取引期限があるということは、買いポジションを維持したい場合は期限後に改めて買い建てる、売りポジションを維持したい場合は期限後に改めて売り建てる必要があるわけです。

ちなみに、ロールオーバーは必ずしも自分でしなければいけないわけではなく、自動的にロールオーバーされる商品もあります。
また、ロールオーバー時には、通常、期近と期先の価格には多少の開きがあり、自動的にロールオーバーされる場合には、その価格差を調整する仕組みが組み込まれています。
例えば、GMOクリック証券の『米国VI』では、下の画像のように『価格調整額』というものが発生するようになっています。

こちらの表の見方を少し解説します。少し変則的な順序になりますがお許しを(^^♪
- 右から1列目『期先』…ロールオーバー後のVIX先物の価格
- 2列目『期近』…ロールオーバー前のVIX先物の価格
- 3列目『買』…買いポジションのロールオーバー時の調整額
- 4列目『売』…売りポジションのロールオーバー時の調整額
- 5列目『発生日』…ロールオーバー発生日

実際の値でシミュレーション
2019年3月12日に、期近の米国VIを14.475ドルで買い建てたとしましょう。
その後、期先の15.675ドルへと買いポジションの自動ロールオーバーが発生します。
期近と期先の差は1.2ドル、それに当時の為替レートを掛けて、価格調整額がマイナス1,334円となりました。


そして時は過ぎ、次のロールオーバーの2019年4月10日を迎えました。
VIX先物の値は、期近は14.405ドル、期先は15.79ドル、期近と期先の差は1.385ドル、それに当時の為替レートを掛けて、価格調整額がマイナス1,538円です。
この時点での保有ポジション損益を見てみると、買値の14.475ドルから期先は15.79ドルの含み益(1.315ドル)と、前回の価格調整額のマイナス1,334円と今回の価格調整額のマイナス1,538円となっています。


VIXのロング(買い)が分の悪い投資手法と言える理由
長々と説明してきましたが、ここまでの内容をまとめると、先物には取引期限があって、ポジションを維持するにはロールオーバーが必要であり、期近と期先の価格には価格差があるわけです。
また、その価格差ですが、先物取引の特性上、期近より期先の方が高い状態(『コンタンゴ』と言います)がほとんどです。
先ほどのシミュレーションでもそうでしたが、それほど先物の価格に動きがなくても、コンタンゴである限り、ロング(買い)持ちの人は損失が膨らんでいってしまうわけですね。

VIX恐怖指数投資のロング(買い)戦略の対策とは
『VIXのロング(買い)は長期保有に向かない』と言いましたが、逆に、短期保有なら特にデメリットはありません。
ただ、VIXを短期保有で買い建てるということは、それなりの暴落のタイミングを当てる必要があるので、投資ではなくギャンブルとして楽しむ程度にしておいた方がいいと思いますよー。

まとめ
いかがでしたか?
VIX恐怖指数投資のロング(買い)戦略は、①長期保有には向かない、②短期保有で暴落のタイミングを当てる場合にはオプション取引の方が向いている、…という点から、分の悪い投資手法=オススメしないということになりました。
VIX投資ありきで考えるのではなく、TPOに合わせて投資対象を選択することも大事なのかもしれませんね(^^♪
