VIX恐怖指数投資のロング(買い)のデメリットとは

VIX太郎
博士、前回の講座『 VIX恐怖指数投資のショート(売り)戦略のリスクと対策 』でVIXのショート(売り)のリスクは理解できましたが、ロング(買い)はどうなんでしょう?
VIX博士
VIX博士
正直なところ、VIXのロング(買い)は分の悪い投資手法だからオススメはしないのぅ。それじゃー今回は、VIXのロング(買い)戦略の特徴やなぜ分が悪いのかについて話をしようかのぅ。

VIX投資・恐怖指数投資と言うと、ショート(売り)戦略が注目されがちですが、実際のところ、ロング(買い)戦略は、どんな特徴を持ち、どんな時に使える投資法なのでしょうか。

今回は、そんなVIXロング(買い)戦略についてご紹介します♪

VIX恐怖指数投資のロング(買い)戦略のリスクとは

まずはロールオーバーについて理解しよう

基本的に、VIX関連の商品はVIX先物に連動するように設計されていて、そのVIX先物には取引期限が設定されています。

取引期限があるということは、買いポジションを維持したい場合は期限後に改めて買い建てる、売りポジションを維持したい場合は期限後に改めて売り建てる必要があるわけです。

VIX博士
VIX博士
このように取引期限日までにポジションを決済して、次の取引期限(限月)のポジションに乗り換えることを『ロールオーバー』と言うのじゃ。

ちなみに、ロールオーバーは必ずしも自分でしなければいけないわけではなく、自動的にロールオーバーされる商品もあります。

また、ロールオーバー時には、通常、期近と期先の価格には多少の開きがあり、自動的にロールオーバーされる場合には、その価格差を調整する仕組みが組み込まれています。

例えば、GMOクリック証券の『米国VI』では、下の画像のように『価格調整額』というものが発生するようになっています。

VIX価格調整額
VIX価格調整額

こちらの表の見方を少し解説します。少し変則的な順序になりますがお許しを(^^♪

  • 右から1列目『期先』…ロールオーバー後のVIX先物の価格
  • 2列目『期近』…ロールオーバー前のVIX先物の価格
  • 3列目『買』…買いポジションのロールオーバー時の調整額
  • 4列目『売』…売りポジションのロールオーバー時の調整額
  • 5列目『発生日』…ロールオーバー発生日
VIX博士
VIX博士
調整額=(期近と期先の差)×為替レート …ということじゃ。

実際の値でシミュレーション

2019年3月12日に、期近の米国VIを14.475ドルで買い建てたとしましょう。

その後、期先の15.675ドルへと買いポジションの自動ロールオーバーが発生します。

期近と期先の差は1.2ドル、それに当時の為替レートを掛けて、価格調整額がマイナス1,334円となりました。

VIX太郎
あまり理解できていませんが、1,334円の含み損を抱えているってことですか?
VIX博士
VIX博士
いやいや、14.475ドルから15.675ドルとなった保有ポジションの含み益(1.2ドル)と価格調整額(1.2ドル×為替レート)を合わせて±ゼロとなっただけじゃ。別に得も損もしとらんぞぃ。

そして時は過ぎ、次のロールオーバーの2019年4月10日を迎えました。

VIX先物の値は、期近は14.405ドル、期先は15.79ドル、期近と期先の差は1.385ドル、それに当時の為替レートを掛けて、価格調整額がマイナス1,538円です。

この時点での保有ポジション損益を見てみると、買値の14.475ドルから期先は15.79ドルの含み益(1.315ドル)と、前回の価格調整額のマイナス1,334円と今回の価格調整額のマイナス1,538円となっています。

VIX太郎
1.315×10(※米国VIの取引単位は10)で含み益は13.15ドルで、調整額の合計はマイナス2,872円…。これってどう考えても含み損状態ですよね?
VIX博士
VIX博士
そうじゃな。前回のロールオーバー後(15.675ドル)から今回のロールオーバー時(14.405ドル)までの下落分は損失となるからのぅ。

VIXのロング(買い)が分の悪い投資手法と言える理由

長々と説明してきましたが、ここまでの内容をまとめると、先物には取引期限があって、ポジションを維持するにはロールオーバーが必要であり、期近と期先の価格には価格差があるわけです。

また、その価格差ですが、先物取引の特性上、期近より期先の方が高い状態(『コンタンゴ』と言います)がほとんどです。

 

先ほどのシミュレーションでもそうでしたが、それほど先物の価格に動きがなくても、コンタンゴである限り、ロング(買い)持ちの人は損失が膨らんでいってしまうわけですね。

VIX博士
VIX博士
つまり、基本的にVIXのロング(買い)は長期保有には向かないわけじゃよ。

VIX恐怖指数投資のロング(買い)戦略の対策とは

『VIXのロング(買い)は長期保有に向かない』と言いましたが、逆に、短期保有なら特にデメリットはありません。

ただ、VIXを短期保有で買い建てるということは、それなりの暴落のタイミングを当てる必要があるので、投資ではなくギャンブルとして楽しむ程度にしておいた方がいいと思いますよー。

VIX博士
VIX博士
暴落のタイミングが分かるシックスセンスを持っているなら、VIXを買うよりも指数先物オプションのプットオプションを買った方がいいと思うがのぅ…

まとめ

いかがでしたか?

VIX恐怖指数投資のロング(買い)戦略は、①長期保有には向かない、②短期保有で暴落のタイミングを当てる場合にはオプション取引の方が向いている、…という点から、分の悪い投資手法=オススメしないということになりました。

VIX投資ありきで考えるのではなく、TPOに合わせて投資対象を選択することも大事なのかもしれませんね(^^♪

VIX博士
VIX博士
次の授業は、『投資は危ない?!1日で96%資産が減った破産』じゃよ。